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このページは 2008年 01月 06日 10時47分56秒に更新されました。 |
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陳真さんは日本敗戦まで,年齢にして13歳(正しくは12歳)まで,日本で中国人として育った.それから約3年,台湾で生き抜き,香港の船待ちを経て,1949年8月末に天津に入港している.1ヵ月後に,中華人民共和国が建国され,それから共和国の人民として生きてきた.この3つの時代,それぞれに私たちは考え込まされるだろう. 彼女の日本時代については,日本人のほとんどが皇国日本とか,東亜新秩序とか叫び,日本列島の特殊非合理思考に溺れていったとき,中国人としていじめられながらも,これほどまで中国と日本の現実を正しく認識していた少女がいたこと. 台湾時代については,日本人はさんざんアジアを蹂躪しておきながら,敗戦後はぴたっとアジアに関心をもたず,例えば台湾の1947年2月28日事件,朝鮮・済州島での48年4月3日事件,べトナム北部における大飢餓などを知ろうとしなかった.当時はGHQの報道管理下にあったため,知ることは難しかったが,占領が終って以降も関心をもたなかった.自分たちは戦争の被害者であると思い込み,台湾,朝鮮,中国,ベトナム……つまり日本軍が侵攻した地域の人びとが日本人以上に苦しんでいることを想像さえしなかった.陳真さんの台湾での逃亡生活は,戦後の日本人以上に台湾の人びとが苦しんだこと,私たちにはその想像力もなかったことを教えてくれる. そして第3の永い北京時代,私たちは陳真さんの生き方を通して,中国現代史を活き活きと追体験できるだろう.彼女は政治都市・北京の,しかも中央政府と政治的にも距離的にも遠からぬところにいて,革命後の社会がどのように揺れ動いていくかを,豊かな感受性で受けとめてきた.革命中国の政治のダイナミズムと庶民の情感をあわせて,陳真さんとともに辿っていくことができる. 私はここで,病床の陳真さんの痛みが和らぎ,少しでも体力が回復することを祈りながら,あらゆる思いをこめてペンを置く. 1944年,高知県生まれ.北海道大学医学部卒業.長浜赤十字病院精神科部長,神戸市外国語大学教授などを経て,現在は関西学院大学教授.専攻は比較文化精神医学. おもな著書に『生きがいシェアリング』(中公新書),『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋,大宅壮一ノンフィクション賞),『喪の途上にて』(岩波書店,講談社ノンフィクション賞),『紊乱のロシア』(小学館),『庭園に死す』(春秋社),『災害救援』(岩波新書),『わが街東灘区森南町の人々』(文藝春秋),『戦争と罪責』(岩波書店),『気分の社会のなかで』(中央公論新社),『国家に病む人びと』(同),『犯罪と精神医療』(岩波現代文庫),『させられる教育』(岩波書店),『背後にある思考』(みすず書房),『共感する力』(同)などがある.
[ 17] moreinfo
[引用サイト] http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0238280/top.html
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